“遊言夢言”
 この<遊言夢言>というコラムは1984年に『環境ジャーナル』の前身である『新政経情報』を発行した時から“仕置人”草野洋が『朝日新聞』の<天声人語>を真似て書き続けてきたもので、早や22年になる。
 さまざまな世の中の“出来ごと”に対してきわめて感情的に思いを吐露してゆくもので客観性に乏しいかもしれないが“仕置人”のストレス解消法と解し、ご寛容に願いたい。
映画<北の零年>と “金権弁護士” 【2005/03】
“悪徳金融”で名高い金融業の顧問弁護士であるYに、昨年12月始め“調査”を依頼された。ところがその直後Y弁護士は、12月半ばにお茶の水の日大病院に入院。その後1月17日に会う約束が当日にキャンセル。そして1月31日にも会う約束したがこれもドタキャン。このどちらもこちらから確認電話を入れて「変更ありません」と返事があったあとの2〜3時間前のキャンセルだった。そして2月24日は夜8時30分に銀座のクラブを指定された。この日は、朝9時30分の約束(Y弁護士は9時という)だったのだが、10時の裁判があるから時間がとれないということで夜に会うことになったのだった。“調査”をすすめ、生真面目にレポートを書き、会って打ち合わせをしたいというのに。急きょ余った時間を他の取材に切り替えたが、それでも夜の8時30分までは数時間あったので、池袋東口の「ビックカメラ」でコピー用のインクを一式買い、その足で“サンシャインシネマ通り”を歩き、朝から苛々させられていた気持ちを払いのけたいと思い<北の零年>(行定勲監督作品)を観た。

   「北の零年」
 吉永小百合、渡辺謙、豊川悦司らがくり広げる
 製作費15億円をかけた“感動巨篇”<北の零年>



  「馬を逃がす」
馬を調達に来た役人(渡辺謙)にアイヌのアシリカ(豊川悦司)が命がけで数十頭の馬を逃がす

 サウンドの響き、壮大な風景、大地に咆哮する吹雪、群れて疾走する馬の躍動美。そして厳しい自然と戦いながら、自らマゲを切ってこの地に踏みとどまる決意をしてゆく。幕末から明治という歴史の推移の中で、人間の誠意を信じ武士の誇りを最後まで持ちつづけた“愛とロマン”という平易な表現ではモノ足りない感動的な映画だった。 こうして約1時間の余裕を持って銀座7丁目の、指定された「帝(みかど)」というクラブへ向うと、途中の電話で「オスカー」というクラブに変更させられた。しかし<北の零年>の余韻で、もう腹も立たず、言う通りに「日航ホテル」の裏側にある「オスカー」という高級クラブへ着いた。案内されたテーブルには、Y弁護士の飲みものが用意されていて、ホステスがウィスキーの水割りをつくってくれたが、「オレは水でいいよ」と言ってY弁護士を待った。ここでもY弁護士は自らが指定した時間より20分遅れてきた。 通常の神経なら、ここで2度のドタキャンについて先ず一言でも謝るべきだろうが、いきなり「あの件は損害賠償請求の訴訟を起こしたので。記者会見をして云々・・・」。「じゃあ、依頼された件は、もういいということですね」と訊くと「そうですね」と言った。そこでテーブルの一つも蹴飛ばしたいところだが、まだ<北の零年>の感動が残っていたから「あなたがくるまで、まだ一口も飲んでませんからね。今日はこれで帰ります」と席を立った。その間わずか5分ほどだった。 当方の時間を何度も奪い、約束を守らなくても謝りもせず、何の痛痒も感じないY弁護士は、病院へ入院すると“特別室”。夜毎銀座のクラブをはしごしている。“悪徳金融業”の代理人として、貧乏人を泣かせて得た報酬を湯水の如く使う輩には、もう人間の誠意も疎ましく、ただ金銭を追いかける亡者になり下っていて<北の零年>を観ても、Y弁護士にはおよそ理解ができないだろう。

2004.10〜2005.3 過去ログ
そしてどうなるの“日本列島 【2005/03】
憎しみは憎しみによって償えるのか 【2004/11】
職場の受動禁煙賠償命令 【2004/11】
<華氏911>が教えてくれたこと 【2004/10】

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