この<遊言夢言>というコラムは1984年に『環境ジャーナル』の前身である『新政経情報』を発行した時から“仕置人”草野洋が『朝日新聞』の<天声人語>を真似て書き続けてきたもので、早や22年になる。
さまざまな世の中の“出来ごと”に対してきわめて感情的に思いを吐露してゆくもので客観性に乏しいかもしれないが“仕置人”のストレス解消法と解し、ご寛容に願いたい。 |
| “憎しみは憎しみによって償えるのか” |
【06/11/10】 |
「もう50年もたっているのに、中学校に隣接して“陳列館”をつくり、子どもたちに反日感情を煽っている。これでは真の日中友好とはいかないでしょう。あの不幸な時代を忘れてくれとは言わない。だが、許し合う寛容さがほしい」
仕置人が、黒龍江省の役人らが出席したレセプションで言った。10年ほど前、仕置人が「財団法人亜細亜友之会」常務理事時代、アジアの留学生ら10数人を連れ、“中国遊説”の副団長として大連、瀋陽、北京、ハルピンと“遊説”した時、ハルピンの「七三一細菌部隊罪行陳列館」を観た夜だった。
この“遊説”では「友之会」理事長が体調が悪くて行けない、ということだったので、仕置人ら「友之会」事務局では、ハルピンの「福祉学校」へ“贈呈”するための中古乗用車2台を先に船便で送り、他にファックスやコピー機など10点ほど持っていった。
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| 元 『七三一部隊』 兵舎で、現在は中学校 |
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| ハルピンの「福祉学校」への贈答品目録を渡す“仕置人” |
通称「石井部隊」といわれた「七三一部隊」は、かつて「丸太狩り」と称して中国人を捕えて“生体解剖”という残虐な実験をしたことで知られているが、その「石井部隊」の兵舎が、そのままハルピンの中学校として使用されていた。
その真裏に、日本軍の残虐行為の資料が陳列されていた。“陳列館”に入った留学生2人は、いったん中に入ったが 顔をしかめてすぐに出てきたほど生々しかった。すぐ傍には死体を焼却した火葬場から煙突が立っていた。“遊説”の準備が完了したころ「自分も体調がよくなったから」と団長として中国に同行してきた理事長は、仕置人の冒頭の発言に慌てて「この席では不謹慎だから」と止めたが、もう間に合わない。
ところが黒龍江省の役人の1人は「ご意見は理解します。あなたの言うことは正しい」と仕置人の手を握った。
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| 『七三一部隊』 の資料館入口 |
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| 黒龍江省役人とのレセプションの席で(中央)“仕置人” |
こんな10年以上も経過した時のことを記したのは、去る11月9日から3日間にわたって日本の領海内を蛇行しながら、それも挑発するようにゆっくり潜航したという中国原子力潜水艦のことがあったから。日本が開発途上国に供与しているODAは、多分に「戦後賠償」の意味合いがある。とくに中国には、これまでに6兆円以上が供与されている。
しかし、中国は軍備を拡張し、そのあげくには、軟禁されているスーチー女子の解放や民主化を求め、ODA供与を中止しているミャンマーに対し、ユーゴを迂回した援助をしたりする。そうしたことから日本側では、中国に対するODAの打ち切りや削滅が論議されるようになったが、この度の中国原子力潜水艦の“領海侵犯”が、そうした日本への牽制だとしたなら無礼なことだ。
そんなヒマがあったら、理不尽なアメリカのイラク攻撃を止めさせるように働きかけるべきで、友好を語り、左手で日本からの援助を受け取りながら右手でドスをちらつかせるようなことは、内政干渉である小泉首相の靖国神社参拝批判とともに即刻やめてもらいたい。
「罪のないイラク人をテロの犠牲にするな」とザルカウイの拠点とするファールージャに連日猛攻撃を加えているが、そのアメリカ軍は爆撃などで罪のないイラクの民間人を殺している。こうしたアメリカの蛮行に、なぜ中国は押し黙っているのか。成長著しい経済発展で、世界の三聖人の1人である孔子を生んだ儒教の国が、道徳をなおざりにしているように思えてならない。
まして日本への憎しみが、憎しみによって償えるものではないことを中国は知るべきである |
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