“拉致”の北朝鮮に内部崩壊の兆し

 昨年12月24日午後、官房長官は“拉致事件”をめぐる11月の日朝実務者協議で、北朝鮮が示した被害者10人に関する資料に対して、「説明を裏付けるものは皆無だった。全く受け入れられない」として、北朝鮮に対して調査のやり直しと生存者の帰国を要求した。

 この“拉致事件”を人気取りに利用しようとする政治家もいれば、北朝鮮問題で稼ぎまくる評論家と称する人種もいる。またイデオロギーむき出しで北朝鮮批判を繰り返すマスメディア・・・、とくに『産経』の12月25日付などは1面トップ、2面の『主張』、さらにその2面に関連記事、そして3面、5面、27面に精査結果を載せるという大変な力の入れよう。確かに横田さんら拉致家族にとっては悲痛な思いで毎日が辛いことと察する。

 察しはするが、国の外交というものは、感情的であったり、一部の人たちだけのためだけでなく、国民全体の安全を大所高所から判断しなければならないだけに、ヒステリックに北朝鮮に経済制裁で追い込むだけでは能が無さすぎる。



拉致された横田めぐみさんの帰国を待ちわびる横田夫妻

 同族意識の強い韓国、そしてロシア、中国など北朝鮮へ強い影響力を持つ国々への外交努力を徹底し、それらの国からの説得こそ効果的方法だと思う。アメリカの力の圧力だけでは、イラクがいい例だ。それはそれとして、近ごろ北朝鮮では、金正日の独裁体制に反旗を翻す事態が頻発しているという。

 今年10月には「金日成・金正日の十大ウソ」と題するビラが北朝鮮国内でばらまかれている。このグループは春ごろから活動を開始している。この3枚目のビラには「金日成は富農の出身で、朝鮮労働党の階級路線からいえば敵対階層だ」。「金正日はユーラーという名のソ連国籍を持っていた」。

 さらに「(金父子は)わが人民を世界で一番悲惨な貧民に、この国を世界の落伍者にした」というのもある。また、「金正日が金日成を殺した」というビラもあったとか、1998年2月には黄海北道・松林にある製鉄工場で北朝鮮の歴史上最大の労働蜂起があったという。2004年には不気味な事件が相次いでいる。

 同年4月22日の平安北龍川駅での列車爆破事故があり154人が死亡した。その数時間前に金正日が乗った列車が通過している。これは金正日暗殺未遂事件ともいわれる。一説では、この爆破は、許チャンソクら8人による金正日暗殺計画が実行されたとの見方もある。首謀者の許は、祖国平和統一委員長の甥で、対中貿易関係者。

 また、張成沢首謀説もある。張は金正日の義弟で前朝鮮労働党組指部第一副部長。許は処刑され、張は粛清されたらしい、という。5月22日には平壌の地下鉄で原因不明の火災が起きたし、9月9日の北朝鮮の建国記念日には、中朝国境の両江道亨植郡でも爆発事故が起きたという。

 特に要人として呉セウクの10月米国亡命情報があり、この呉は呉克烈大将(元参謀長)の長男で金正日の親衛隊の一人だが、呉克烈もその後に亡命したという説もある。それから閻基淳(朝鮮労働党組織第一副部長)の次男の閻ジョンチルも5月ごろ米国に亡命している。

 金正日はこのごろ対外的に個人崇拝や独裁色を薄めようとしていて、自身の肖像画の撤去や金日成との父子バッヂの制作を中止したし、「偉大なる領導者」などの呼称も外させている一方で、“反国家行為”への刑罰を強化している。


戦々兢々の金正日だが
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