「住基ネット」で得するのは誰か

 去る8月24日、東京 杉並区 (山田宏区長)が「住民基本台帳ネットワーク」(以下「住基ネット」)に、希望者だけを接続する「選択制」での参加を求めて国と都を提訴した。杉並区 が求めたのは、「全員参加を前提とした段階的参加方式」で、これは「横浜方式」として国も都も認めているのに 杉並区 には認めていないので、これは法の下の平等に反するから許されない。

 また、そうした違法行為によって発生した損害として約4,478万円を請求している。杉並区としては、「住民基本台帳」は、住民に関する事務処理の基礎となる台帳であり、その作成や管理は、区市町村の自治事務であるから、国や都から強制されるものではないとの立場から参加しなかった。

 また、利便性が乏しく、必要性を感じない住民が多いという。それと「個人情報の保護」という点で、万全なものではなく、その点に関する危惧から区長の山田宏は「地元自治体でしか住民票が取れない程度は、自由と民主主義を守り、国民の安全を確保するためには最少限必要なコストととらえるべきでないのか」(『朝日』平成12年7月15日<論壇>より)といった見識を示している。

 また、「全国の住民から、多数の要望・請願等が行われた形跡はない。」(「訴状より」というのだから不可解なはなし。総務省によると、すべての国民に10ケタの住民票コードを割り当て、全国の区市町村の住民基本台帳関連事務をコンピューターで結ぶこの計画の初期費用は約400億円、別に約200億円の年間維持経費を必要とするという。

 そこで誰がいちばん得するかといえば、従来から存在する住民基本台帳電算処理システムと「住基ネット」の橋渡しをするサーバーを制作する日立、東芝、NECなどのメーカーだろう。

 こうしてみるとふと思うことは、政府自民党の電子機器産業へのリップサービスで、公共事業削減で苦しい経済界への思いやりと、与党への政治献金に連動しているのではないか、と思うのはうがちすぎだろうか。
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