シリーズ「東京ディズニーランド」その光と影(2)
 瀕死の「OLC」を救った高橋政知

 昭和35年7月、「朝日土地」、「京成電鉄」、「三井不動産」がそれぞれ32パーセントの株式を所有し、資本金5億円の会社「オリエンタルランド」を設立した。残り4パーセントを所有していた藤生実太郎なる男が、誕生間もないこの「OLC」をスキャンダルにまみれさせた。

 昭和35年7月、藤生が浦安地区の土地買収で便宜を図ってもらうため、浦安出身の県会議員岡島多三郎に100万円を渡したことが発覚し、東京地検特捜部に別件で逮捕されてしまった。こうして「OLC」は一時的に実体の無いような会社となってしまった。

 設立した当時「OLC」の社長だった「京成電鉄」の川崎千春の下に、専務として高橋政知がいた。高橋は、藤生が贈賄事件で有罪判決が決定したことを理由に「OLC」から藤生を追放した。藤生は失意のうちに死去した。この藤生を追放した高橋政知こそ「TDL」の生みの親というべき人物で、当時「建材」という会社の社長だった。

 高橋は、「三井不動産」の江戸英雄に頼まれて、大蔵省と係争中の土地問題で奔走したりしていたが、設立間もない「OLC」の専務に就任し、53年に社長となっている。高橋の父は、昭和初期に警視総監や台湾総督を勤めた人物。


「ディズニーランド」生みの親 高橋政知

漁民は「漁業権」を放棄し、昭和39年から埋め立てが始まった

ヤリ手の高橋は、千葉県が計画した200万坪余りのうち75万坪の分譲を受けることに成功したが、漁業補償や工事費を含めた埋め立てに関する総計費を前納して、完成した時点で引渡しを受ける。当時見積もられた総経費込みの埋立て原価は、およそ坪当り8000円。総額で65億円だった。

 慢性的な資金不足の「OLC」にとって65億円という金は巨額で極めて困難。そこで考えだした苦肉の策は、県による埋立て工事の全面的委託だ。つまり260万坪の埋立て工事を、県の委託を受けて一括で引きとるという方法をとった。

 県が埋立てるとなれば、立派な公共工事で「OLC」がどんな手法で受託したかは定かでないが、工事は建設業者に立替え工事として作業を進めさせ、目的の土地が形になる毎に抵当権を設定して銀行から融資を受けた。

 こうした時の県との交渉に高橋は政治家を利用したり、漁業補償交渉では、自ら乗り込んで膝詰めで一升ビンを立て、縄のれんの赤ちょうちんの屋台で漁民の心情に耳を傾けた。やがて約2300人の漁協組合に漁業権を放棄させ、組合員1人当り800万円が支払われたという。

 こうして県から「OLC」が最終的に受け取った土地は、遊園地用地が64万坪、住宅用地40万坪の計104万坪。なお、県との正式の分譲価格は、坪当たり1万6800円となった。



 シリーズ「東京ディズニーランド」その光と影
   1.「青べか物語」の、のどかな浦安だった
   2.  瀕死の「OLC」を救った高橋政知
   3.  75万坪が25万坪になった「ディズニーランド」
   4.“総会屋”への「利益供与事件」に発展か
   5.“志賀三郎逮捕”直前に警察官僚を常務取締役に迎え入れる
   6. 加賀見社長が自分を“誇示”したパーティー
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   8. トボケ続ける加賀見会長は“利益供与疑惑”
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