シリーズパチスロ「アルゼ」の仁義なき商魂(6)

不祥事の面目回復に“生けにえ”にされた運送会社


 パチスロ機には、電子制御に精通した“ゴト師”なる仕事師集団がいて、「ロム」という長方形の箱型のプログラム内蔵ボックスで、スロットの当りを左右する心臓部分に似せて、一定の打ち方で大当りする「裏ロム」を偽造する。

 いわゆる“ゴト師”という技術屋と、「裏ロム」を取りつける“仕込屋”、そして実際にパチスロ機で大当りを出す“打ち子”がいる。この三者がグルでやるのだから、ホールの経営者は手の打ちようがない。後に公正取引委員会に「アルゼ」の人気パチスロ機“HANABI”が立ち入り検査されるのだが、それは次号に述べるとして、この“HANABI”の疑惑事件をここでは記すことにする。九州地方で、1998(平成10年)から製造が開始された“HANABI”から、1997(平成9年)製造と記された「裏ロム」が発見された。これは福岡で142台、鹿児島で86台、宮崎で57台、熊本で46台という大がかりな犯行。

 いずれにせよ「アルゼ」の“HANABI”に仕込まれた「裏ロム」は、製造現場か工場、倉庫。あるいはパチスロ機の運搬過程で起きたものとしか考えられない。これをスクープしたのは『週刊現代』(99.12.4号)で「アルゼ」はてんやわんや。

 「アルゼ」としては、その面子にかけても“犯人捜し”に狂奔した。しかし、たった3台の「裏ロム」が発見された運送会社の「倉庫で仕込まれた」として「アルゼ」は決着を図った。


     『朝日』、『読売』、『毎日』に掲載(1999.12.2)された全面広告

 「アルゼ」に“犯人”と断定された福岡に本社のある「マルタカ通商」を“容疑不十分”として県警は受理さえしていない。しかし「マルタカ通商」は、業務の100パーセントを「アルゼ」に依存していたため、あえなく倒産した。つまり「マルタカ通商」を、「アルゼ」が何が何でも信用回復するために決着が必要で、そのスケープゴートにされたのでは、というのがもっぱらの定説となっている。

 この事件の直後「アルゼ」は<プレーヤーに支持されホールに信頼される道を求めて。>という“お詫び”を『朝日』、『読売』、『毎日』の3紙に全面広告を出した。その広告には<ある特定の運送会社より出荷された機械において不正なプログラムが取りつけられたケースが発生していることが判明したのです。ただちに発生から2週間で万全の対策をとりました。>しかし、前記したように運送会社の「マルタカ通商」を「アルゼ」が福岡県警に告訴したものの受理されていない。

 こうして、一般紙3紙に広告を掲載したが、“お詫び広告”を全面広告で出すというのはあまりお目にかかったことがない。
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