―シリーズ西武― 西武と堤義明の“悪業”を暴く <29>

“西武報道”に群を抜いたナベツネの『読売』

「読売グループ本社会長・主筆」などの肩書きを持つ“ナベツネ”(渡辺恒雄)は、「たかが選手」発言の“舌渦問題”で「読売巨人軍」のオーナーから降りてしまった。それから間もなく「有価証券報告書」の“虚偽報告”が発覚して堤義明が「西武ライオンズ」などの「西武グループ」の全役員を辞任した。

 これも「時の流れ」と言ってしまえばそれまでだが、義明の「Xデー」が間近いと囁かれはじめた今年1月18日付の『読売新聞社社報』でナベツネは、例によって国内経済が立ち直ったのも、日米同盟が堅持されたのも、みんな『読売』のお陰と言わんばかりの自慢話のオンパレード。そのあげく「堤オーナーが、ロッテがダイエーと合併するという独断妄想で余計な発言をしたため、(中略)ストに突入してしまったのです。」義明は“容疑者”と指さされ、天下の大道を歩けなくなったのをよいことに、自分の「たかが選手」発言は“はめ取材”に会ったのであって、プロ野球選手のストは「義明のせいだ」と言う。

『読売新聞』の「主筆」という編集に絶大な権限をもつナベツネの“威光”が反映してか紙面での“西武報道”は精力的で、スペースも群を抜いた。とくに義明が逮捕された翌日の3月4日付『読売』は1面トップで<「虚偽記載隠し」謀議>があり、「武富士」の長男の史上最高の1600億円申告漏れは4段でたった18行。同紙3面には<封建支配時代読めず>の大見出しで、その左端の社説にも<市場への背信が招いた転落>とあり、ほとんど“西武報道”で埋められている。そして4面には<堤容疑者広い政界人脈、与党注視、野党追及の構え>と40行ほどで、9面は約3分の2をさいている。

 また、同紙11面に3分の2ほどのスペースで<「含み益」経営で失速>、13面“解説”にも<堤容疑者光と影>のタイトルで「カリスマ性発揮して長野五輪招致、一方でスポーツ界に密室性持ち込む」とのサブタイトルがついている。それほど“問題”があったのなら、さっさと新聞の使命を発揮して告発すればいいのに、この期に及んできれいごとを言っている。そして同紙の21面には<冬期競技に影響か主要施設「西武」が所有>が2分の1、また38面では<堤さん間違っていなかった>と「コクド」社長の苦渋に歪んだ表情と記事。最後には一般に“社会面”といわれる39面に<堤容疑者売却先リスト作成>、<西武鉄道株、進ちょく状況把握>などの見出しで3分の2のスペースを埋めている。

 ともかく、1つの事件で各面毎のスペースの違いはあるにせよ、7面にわたって報道されたのは、“快挙”であり、“珍事”でもある。ことほど左様にナベツネは、義明への鬱憤を晴らしている。本来新聞は、詳細にわたって報道するのは読者のためにも当然。しかし、ナベツネ批判を書いた『週刊現代』の広告を2001年1月から掲載拒否。「週刊ポストを載せているのに、週刊現代とどう違うのか」と当時『読売』に尋ねたことがある。すると「週刊現代は低俗雑誌で、うちの広告掲載基準に合わないから」という返事だった。ところが、今年3月7日(月)の『読売』朝刊から『週刊現代』の広告が掲載されている。“仕置人”は意地が悪く、「どこがどう週刊ポストと違い、どこがどうなったから掲載を始めたのですか」と尋ねたが「それは広告部の判断です」だって。

 そういえば、『中央公論』という月刊誌、にナベツネが<政治記者一代記>(98年11月号〜99年6月号)を8回にわたって連載したことがある。これも自慢話だらけで、2人の大学助手がインタビューをして構成したものだが、連載中の99年2月にナベツネは『読売』の傘下に入れてしまった。もちろん経営危機に陥っていた「中央公論社」は助かったが、自伝を連載中に買収したのか、買収が決定したから連載を始めたのか不明だが、こんな“荒業”は、伝統ある出版社を“私物化”したことにならないのか。

 こうした不見識な“老人性顕示欲症候群”のヤカラが日本一の販売部数を誇る『読売新聞』の「主筆」だというのだから、“キチガイに刃物”を持たせているようなもの。


 週刊新潮』(05.2.17号)より

 
  義明逮捕の3月3日の『読売』

 
義明逮捕の翌日の『読売』には7面にわたって「西武」関連記事が

 
義明逮捕の翌日『朝日』の1面記事

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