―シリーズ西武― 西武と堤義明の“悪業”を暴く <14>

「ワコール」に恩を仇で返した義明

“京都商工会議所会頭”という影響力の大きい立場で、「ワコール」の塚本幸一は、同じ滋賀県出身の義明の「プリンスホテル」を“サミット誘致”という大義名分で京都市 議会を納得させ、市民の財産である“市有地”を義明は格安で手に入れることで建設することができた。しかし「京都は警備上問題が多くて」“サミット”は東京で開催された。

 しかし、あらゆる「特典」を与えられて、宝ヶ池「プリンスホテル」は建設された。当時、 京都市 理財局課税第一課に「プリンスホテル」が“非課税”となっている理由について仕置人が質すと「市街化区域内にある家屋については取ることはできるが、区域外では課税することはできないし、これを特別な方法で課税することも現在は考えていない」とのコメントだった。そこで、なぜ市街化調整区域を外さないのかと聞くと、「自由に住宅を建てたりの乱開発をされるから」と答えた。

 こうして京都市 は、義明の「プリンスホテル」に都合のいいことは、“特例”で可能にし、都合の悪いことは、“特例”で課税しようとしなかった。それはとりもなおさず、 京都市 民に損害を与えたことになる。京都は長年にわたって革新の“蜷川府政”だったことから規制が厳しく、「西武」の進出は困難だった。それが“林田府政”となり、塚本幸一が京都財界のドンになったことから強引に 京都市 民を欺いてまでも「プリンスホテル」の京都進出を実現させた。義明にとっては、京都に足がかりができたという意味において「ワコール」は大恩人。

 だが、この度の「西武鉄道」の「有価証券報告書虚偽記載」問題で義明は、「ワコール」に250万株、約28億2000万円もの株式を、上場廃止基準に抵触しかねない事情説明も無く買い取らせた。周知のように「西武鉄道」の株価は、半値に暴落、「ワコール」は10数億円もの損失となり、義明の行為は不公正なインサイダー取引となり、故人である「ワコール」塚本幸一に恩を仇で返したことになる。当然「ワコール」は憤慨し、「西武鉄道」に対して“買い戻し”を請求している。

 京都宝ヶ池「プリンスホテル」問題は、仕置人が『財界展望』(1983年4月15日号)と『新政経情報』(1987年4月15日)に詳しく書いたが、この取材の最中に、当時代議士だった山口敏夫の秘書から京都のホテルにいた仕置人に電話がかかってきた。

 「今朝、ホテルで代議士らの朝食会のとき、ワコールの塚本さんが、草野というライターが、自分のことや堤さんのことを財界展望に書くらしい。困っているんだと言ったら、一緒にいた徳間康快(徳間書店オーナー)が財界展望の鳥飼毅も草野も、オレがボツにしろと言ってやる、と意気まいていたよ」この話を聞いた仕置人は『財界展望』の鳥飼毅に電話を入れ、「徳間に頼まれても、絶対ボツにしないで下さいよ」と念を押した。そして「取材から逃げていて、掲載をボツにしようと徳間に頼むとは・・・・」と「ワコール」の秘書にクレームをつけた17年も昔のことを思い出した。

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