
赤線部分が「塚本商事機械」の155坪の土地
ビル解体が突然中止になった“有名物件”
数少ない一等地として詐欺師の舞台にもなった有名物件である「京橋3丁目」の1200坪の再開発予定地。その中央通りに面した3体のビルを解体するという“お知らせ看板”が掲げられたのが今年3月21日。
その解体期間は平成20年4月21日から同年10月7日までとしてあったのだが、工事着工の前日に着工日が5月1日に延期された。ところが、その5月1日には、“お知らせ看板”が撤去されていて、どうやら解体は中止したと見えたが、今度は7月1日に着工という“お知らせ看板”が出た。
それというのも“お知らせ看板”が出た直後の3月28日付けで「解体はまかりならぬ」という趣旨の<通知書>が「京橋開発」(東京神田・五十嵐一徳社長)と解体工事請負会社である「東京建物テクノビルド」(東京墨田区・藤井充社長)宛に送付されたからだった。その<通知書>の末尾には<仮に、貴社らが本通知を無視して、本件建物の解体に及ぶようなことがあれば、伊和ビルは、貴社らに対して、これによって生じた損害の賠償を請求せざるを得なくなりますので、念のために申し添えます。>とある。
代理人弁護士を通じて<通知書>を出した「伊和ビル」(千葉県船橋市・吉田安廣社長)は、平成14年にすでにこの1200坪のうちの155坪を所有する「塚本商事機械」(東京中央区・塚本正進社長)と売買契約を締結していたのに平成14年9月26日に「塚本商事機械」が「みずほ信託銀行」に、所有権移転登記して「みずほ信託銀行」と信託契約を結んだのだから“詐害行為”である。そこで“詐害行為取消請求訴訟”を「塚本商事機械」と「みずほ信託銀行」を被告として今年3月21日に東京地裁に提訴していた。
つまり、銀座に隣接する中央通りに面した「第百生命」「塚本商事機械」「キャセイビル」のうち中央に建っている「塚本ビル」(155坪)に対する訴訟事件だが、中央の「塚本ビル」だけを解体しないわけにはいかない。

突然中止になったビル解体の“お知らせ看板”

中央が「塚本ビル」で手前が中央通り(左が「第百生命で右がキャセイビル」)
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「みずほ信託銀行」のSPCから733億円で“受益権”を買収していた「東京建物」
この「京橋3丁目」の1200坪は26筆にも分かれていて、平成15年ごろから名うての地面師らが跳梁跋扈した。それらを列挙すると、「藤田パーキング」、「竜土町インベスターズ」、「日本橋中央地所」、「MB・マルゴー・プロパティー」、「日本橋中央地所」、「六本木トラスト」、「富士見産業」などに混じって「新生信託銀行」、「三菱商事」の名前もある。そして、何といっても外資の「メリルリンチ」が8ヵ所も“抵当権者”として顔を出している。
そこへ「みずほ信託銀行」がそのほとんどと“信託契約”を結び、そのすべてにおいて平成18年11月30日に「東京建物」が設立したSPCである「京橋開発特定目的会社」(特定資本金10万円)が受益者となった。この「京橋開発」は、資本金たったの10万円なのに、“優先資本金は465億円”。このSPCを隠れみのに「みずほ信託銀行」は莫大な利益をむさぼった。
つまり「みずほ信託銀行」は“芙容グループ”の「東京建物」(東京中央区・畑中誠社長)に733億円で売却し300億円近い利益を上げたことになる。その辺りを調べようとしたが「みずほ信託銀行」は取材拒否であり、SPCの「京橋開発」は104番で尋ねても電話番号は登録されていない。
それにしても「みずほ信託銀行」のような金融機関が資金力にまかせて、しかも元所有権者が「アーバンコーポレーション」の房園博行と一心同体である「アセットマネージャース」の青木厳など暴力団に資金を流出させていたとしたら「マネーロンダリングに手を貸したことになる」と指摘する声もある。この「アーバン」には、すでに国税が強い関心を示しており、捜査当局の介入は時間の問題とされている。とくに「みずほ信託銀行」専務取締役の遠山光良と「アーバン」との癒着が表面化しそうな気配で目が離せない。
「東京建物」が「京橋プロジェクト」と売買契約を結んだのは平成19年2月7日で、物件の引渡しを受けたのは同年3月15日。
だが、ビル解体の発注者はSPCの「京橋開発」となっている。「東京建物」が、平成19年3月15日に“物件の引渡し”を受けたのだから、発注者の「東京建物」が堂々と表記しないのは不可解ではないか。それと「みずほ信託銀行」が受託者であり、「京橋開発」が受益者である筈なのに「東京建物」が「買った」という相手の“京橋プロジェクト”は関係文書に出てこない。しかも「東京建物」は「みずほ信託さんはこの件に関係ありません」と暴利を上げた「みずほ信託銀行」をかばう。しかし、「京橋プロジェクト」はまぎれもなく「みずほ信託銀行」のSPCである。

「みずほ信託銀行」のSPC「京橋プロジェクト」、そして「東京建物」のSPC「京橋開発」と“受益権”が売買された
(信託『原簿』より)
「塚本商事機械」の“詐害行為”
<訴状>によると、原告の「伊和ビル」は、「平成14年8月2日の売買を原因とする所有権移転登記をせよ」というもの。
被告の「塚本商事機械」は原告の「伊和ビル」と売買契約を結んでいながらこれを解除し、その“停止条件”として2億2750万円を支払うことで合意したが、これを実行しなかった。したがって、売買契約の停止条件付合意契約は無効であり、「当初の売買契約に定めた通り20億円を支払うので“所有権移転登記”をせよ」というもの。
つまり、「塚本商事機械」は「伊和ビル」との約束を履行しないで、一方ではその1ヵ月半ほどたった9日26日に、受託者を「みずほ信託銀行」として不動産管理処分信託契約を締結した、ということである。
<従って、本件合意の条件が成就していないから、本件売買契約は解除されておらず、本件売買契約は、現在も有効である。>と「伊和ビル」は<訴状>の中で主張している。
それを知ってか知らずにか、「みずほ信託銀行」は「塚本商事機械」と“信託契約”したことで“受託者”として「東京建物」のSPCである「京橋開発」に“受益権”を売却した。
しかし、いずれにしても「みずほ信託銀行」は、グループの「東京建物」にこの1200坪の一等地を売却して巨額な利益を得たことは明白。
ともかく「みずほフィナンシャルグループ」が今年1月に予想した“サブプライム”関連の損失額が3950億円だったものが5650億円にふくらみ、当期利益の見通しを4800億円から3100億円に下方修正すると発表している中でのグループ戦略が、6月末の株主総会のメインテーマとなるだろうが、それと同様に、本件の「京橋3丁目」における地上げに関する不透明な手法が、金融機関として逸脱したものであることが追及されるであろう。
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