“ごみ焼却炉談合”を歪めた根来コミッショナー

 「意見を開くふりをするのがうまく、上の人間に対する反対者を説得して歩く人です。」と参議院議員の佐藤道夫(元札幌高検検事長)は根来泰周を、こう評している。"プロ野球再編騒動"で、コミッショナーの責任も果たさないで"敵前逃亡"したと思ったら、また"継投"すると言い出した根来にはボケが始まっている、としか言いようがない。

 それでもこの人は法務省事務次官や東京高検検事長などを歴任していて、前巨人オーナーのナベツネに乞われてプロ野球コミッショナーのポストに就いた。いわばナベツネのロボット的な存在である。

 この根来が公正取引委員会委員長時代(1999年〜)、あの“ごみ焼却炉談合事件”を公取委が立ち入り検査を行い、この全国の自治体が発注するごみ焼却炉の入札をめぐる"談合疑惑"で、「三菱重工」「川崎重工」「NKK」「タクマ」「日立造船」の大手5社が受け、'01年8月13日これらの5社は"排除勧告"となった。

 “排除勧告”をした公取委によると、少なくとも'94年4月から、公取委が立ち入り検査をした'99年までの間に、部課長級の実務担当者が会合を開き、受注予定者を決めていたといい、受注額は市場の87.9パーセントを占める1兆346億円に達したという。

 この“排除勧告”をメーカーが受け入れれば、メーカー側は60億円以上の課微金を納付しなければならない。メーカー側は"排除勧告"の応諾を拒否し、「審判」に持ち込んだ。公取委は、当初"刑事告発"を視野に入れ「談合があった」と認定したのに“刑事告発”に踏み切れなかった理由として「各個人の具体的な行動まで特定できなかった」という。

 しかし、公取委のコメントはレトリックに過ぎないのと思っている。公取委の“刑事告発”は免れないといわれていた立ち入り検査の翌年正月のある日、銀座のMという料理店で「密会」がもたれた、という。

 そこには、「ムネオ事件」の鈴木宗男と公取委の大幹部3人、大手ゼネコン2社からは副社長と専務が神妙に座っていた。そこで宗男は「胃の手術でなぜ心臓までえぐり取らなきゃならないんだ。心臓を取ったら死んでしまう。君らは日本を潰す気なのか」と言い、最後に「これはオレ如き三下の言っていることではない。日本国からの申し入れである」。思わず大向うを唸らせるセリフで、「胃の手術」に例えたのは、“談合疑惑”に対する公取委の立ち入り検査。

 異例の2回にわたる検査で、根こそぎ関係資料を押収したことを「心臓までえぐり取るのか」とオドしたわけだ。当時の鈴木宗男は、実力者野中広務の虎の威をかりて、自民党でも抜群のちからを持ち、外務省にも影響力を及ぼし、北方四島のどこだったかに"ムネオハウス"を援助で贈ったほど。

 そういえば“埼玉土曜会談合事件”でも、金丸信の特命を受けた建設大臣中村喜四郎が、公取委員長に圧力をかけた事実が法廷で明らかになったこともある。政治家には特に弱かった公取委員長の根来が、"刑事告発"にすべきところを“排除勧告”にとどめたばかりに焼却炉メーカーの大手5社は「審判」に持ち込み開き直っている。
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